高いor低い? 自分の質問力を確かめよう! これでビジネスも円滑に進む
Webマーケティングの仕事をしていると、社内外問わず質問や意見を求められることが多々あります。その際に「なにか質問はありますか?」と言われて頭が真っ白になることはありませんか。実はこの質問はビジネスのチャンスであることをご存知ですか。この記事ではビジネスにおける質問力の重要性や、鍛え方などを紹介します。質問力を鍛えてビジネスを円滑に進めましょう。
質問力とは?
質問力とは、分からないことや疑わしい点を投げかける能力のことです。しかしながらビジネスにおいては、自分の疑問点を相手に投げかけている=質問力が高いとは言えません。なぜなら、自分の疑問を投げかけるだけでは、一方的な解消にしかならないためです。ビジネスでの質問力は、双方向にメリットがあるもので、相手の状況や意図を正確に理解することのできるコミュニケーションの一種です。
具体例
- クライアント:打ち合わせにて要望を伝える。
- あなた:現状での課題点を質問し、よりその要望を叶えるための工数や費用が具体化する。
- 結果:より具体的な見積もりが出てクライアントとあなたの両方にメリットが生まれる。
質問力はなぜ必要? 質問力を鍛えるメリット
質問力を鍛えると、どんなメリットがあるのでしょうか。質問力を鍛えることで得られるメリットをまとめてみました。
会話が弾む
質問力を鍛えるメリットの1つ目は、相手との会話が弾むことです。ただ普通に会話するよりも、質問をすることで相手のことを深く知ることができますし、相手も関心を持たれていると感じて関係が友好的になることが多いです。自分から話題を提供することや沈黙が苦手でも、質問力を鍛えることで、自然と会話が弾みます。
得られる情報が多い
質問力を鍛えるメリット2つ目は、得られる情報が多いことです。質問をすることで、質問された相手がこれまでは気づいていなかったような潜在的な思考や課題を引き出せることがあります。特に相手がクライアントだった場合、質問力を鍛えることでビジネスチャンスにつながるきっかけになる可能性もあるでしょう。
認識のズレを防げる
質問力を鍛えるメリット3つ目は、認識のズレを防げることです。クライアントや上司との打ち合わせ後、不明瞭な部分をそのままにしていませんか? 不明瞭のまま進めるのは、得策とは言えません。不明瞭な部分を、「この認識でお間違いないでしょうか」「こう考えておりますが、いかがでしょうか」という質問はお互いの認識を早い段階で一致させることができ、業務を円滑に進めることができます。
質問の種類を知って使い分けよう!
質問力を鍛えることでのメリットを知ったら、早速質問!ではなく、実は質問には種類があることをご存知ですか? 質問の種類を知り使い分けることで、適切な場面で効果的に質問することが可能です。
クローズドクエスチョン
クローズドクエスチョンとは、回答範囲が限られた質問のことを指します。
具体的には、「はい」or「いいえ」で答えられる質問など選択肢の中から答えるような質問のことです。相手にとって答えやすい質問なので、まだ信頼関係のない相手に行うことで、関心を見出し、会話のきっかけとなることもあります。一方で回答を明確にしたり誘導するときにも使えるため、あまり多用すると相手が尋問のように感じてしまうため適切に行いましょう。
クローズドクエスチョンのメリット
クローズドクエスチョンのデメリット
オープンクエスチョン
オープンクエスチョンとは、回答の範囲を制限しない質問のことを指します。
具体的には、「この部分についてご意見をお願いします」や「今回のサービス開始に伴う背景をお聞かせください」のような質問です。選択肢がないので、想定外の斬新なアイデアを得られる可能性があります。一方で、質問を投げかける側も答えやすいような工夫をしたり、様々な答えを想定したりすることも大切です。
オープンクエスチョンのメリット
オープンクエスチョンのデメリット
質問力の鍛え方5選
質問力を鍛えたいとは思っても、何から始めたらいいのか分からないですよね。今回は、質問力を鍛える5つの方法をまとめてみました。ぜひ取り入れて、質問力を磨きましょう。
質問力のある人の質問をメモし、応用する
あなたの周りに「良い質問ができる人」はいませんか? 上司や同僚でそういった人がいる場合には、その人の良い質問を場面とあわせてメモし、応用していくとよいでしょう。メモを読み返してシチュエーションと質問を自分に落とし込みつつ、自分の言い方に変えていきましょう。いきなり質問をするよりリスクを減らしつつ、質問力を鍛えることができます。
論理的思考を鍛えて相手の話す内容を理解する
良い質問をするためには、相手の話の内容を論理的に理解することが大切です。話している内容の要点は何か、また結論・根拠などを読み解くことで、相手の状況を把握することができます。相手の状況を把握することができれば、相手の要望や課題感などをキャッチしやすく相手に寄り添った質問をすることができるようになります。日頃からロジカルに相手の話を聞くことを意識しましょう。
5W1Hを用いて質問する
質問力を鍛えたいと思ったときに、すぐ実践で使用できるものが5W1Hです。
- Who・・・誰が
- When・・・いつ
- What・・・何を
- Why・・・なぜ
- Where・・・どこで
- How・・・どのように
「期限はいつまでですか」「なぜこの部分に課題を感じていらっしゃるのでしょうか」など、日常的に使いやすくかつ重要度が高い質問です。組み合わせて使うことでより良い質問に応用できますし、聞かれた相手も比較的答えやすいので、質問力を鍛えるための土台となる、基本の質問方法です。
常に好奇心を持つ
ビジネスシーンで「質問をしたい」と思ったときに大切なことはなんだと思いますか? それは常に好奇心を持つことです。心から好奇心を持って、「この人のことをもっと知りたい」「このサービスについてより深く理解したい」と思うと、自然と質問が湧いてくるようになります。好奇心を持って話を聴くことを習慣にすることは、質問項目に悩むことを解消する1つです。
質問の場数を踏む
質問力を鍛えるためにはまずは質問することに慣れることが大切です。「質問することによって変な空気になったらどうしよう」と質問する前にためらうこともあるかもしれませんが、場数を踏めば気にならなくなります。あなたが質問したことによって、場の空気も和やかになりコミュニケーションの起爆剤になることもありますので、ぜひチャレンジしましょう。
これは良い質問? 悪い質問? 自分の質問力を確かめよう!
質問力を鍛えるためには、自分の中で浮かんだ質問を「良い質問」か「悪い質問」かを判断し、取捨選択していくことも大切です。ここでは具体的な例を挙げて、「良い質問」「悪い質問」を紹介します。ポイントも一緒にお伝えしますので、判断する際の参考になればと思います。
良い質問1:相手の考えを深堀りする質問
良い質問1つ目は、相手の考えを深掘りする質問です。具体的には、下記です。
【例】
- クライアント:「自分は他社のAのような施策がいいと思ったんだよね」
- あなた:「他社のAのような施策ですね。Aのどの部分が良いと感じられましたでしょうか?」
ビジネスの場では、聞き手の意見を尊重し、それをさらに深堀りする質問は、ビジネスのチャンスにつながります。相手の話に耳を傾けつつ、良いタイミングで質問することが大切です。
良い質問2:お互いの認識を確かめる質問
良い質問2つ目は、お互いの共通認識を確かめる質問です。具体的には、下記のようなものです。
【例】
- 上司:「この間の資料、A社に持って行きたくて。早めにもらえたりする?」
- あなた:「承知しました。早めだと、明日の朝の提出で問題ないですか?」
この質問では「早め」という言葉の認識が同じかどうか確かめています。ビジネスにおいてこの認識の違いが大きなミスにつながることもあるので、認識のすり合わせは常に意識しましょう。
良い質問3:相手のアイデアを引き出す質問
良い質問3つ目は、相手のアイデアややる気を引き出す質問です。具体的には、下記のようなものです。
【例】
- 部下:「この提案Aでいこうと思います。」
- あなた:「提案Aは、私はこの部分がとても良い部分だと思うんだけれど、(部下の名前)さんはどこにこだわって考えたの?」
相手が部下や、まだ信頼関係の築けていないクライアントの場合は、意見が言いづらい可能性があるため、相手の意見を引き出す質問をすることが大切です。ただどう考えたかを聞くのではなく、あなた自身の考えや相手のいいところを提示してから疑問を投げかけるとより話しやすい場となりコミュニケーションを円滑に進めることができるでしょう。
悪い質問1:自分で考えず、相手に丸投げをする質問
悪い質問1つ目は、自分で考えず、相手に丸投げをする質問です。具体例を見てみましょう。
【上司に対しての悪い質問例】
- あなた:「(業務報告)でした。この後はどうしたらいいですか?」
この質問は、質問内容が抽象的で広いため、相手が答えるのが大変な質問です。また、あなたの考えが分からず、受け身で何も考えていないのでは?とマイナスなイメージにもつながる可能性があります。もし良い質問に変更するのであれば、
【上司に対しての良い質問例】
- あなた:「(業務報告)でした。自分は○○の部分に課題を感じていて△△したいと思っています。この後はその部分を進めてもよいでしょうか。ご意見をお伺いしたいです」
上記のようにあなたの考えや業務の方向性を具体的に伝えて質問するとよいでしょう。
悪い質問2:相手を否定する質問
悪い質問2つ目は、相手を否定する質問です。具体例を見てみましょう。
【部下に対しての悪い質問例】
- あなた:「なぜできないの? どうして同じ失敗をするの?」
この質問は、相手を否定するのはもちろんですが、マイナスな回答をさせる質問です。マイナスな回答を求める質問は生産性がありませんし、関係も悪くなり仕事に支障を及ぼすこともあります。相手のできないことやマイナスな面に目を向けた質問はせず、常に質問するときは相手へのリスペクトの気持ちを忘れないようにしましょう。
悪い質問3:要点が絞られておらず、長い質問
悪い質問3つ目は、要点が絞られていない、長い質問です。具体例を見てみましょう。
【クライアントに対しての悪い質問例】
- あなた:「○○というお話から△△だと思うのですが、御社は××とも聞いていたのですが、どういうことなんでしょうか?」
質問内容が長いと、相手は何を答えたらいいか分からず困らせてしまいます。質問するためには相手の話を整理し、要点を絞る準備が必要です。質問は、相手の時間をいただいて行う行為です。お互いの時間を有効に活用できるよう、質問する側は相手が答えやすいように準備をすることが大切です。
質問する際のコツ
質問をする際には内容はもちろんですが、良い質問になるようなコツがあることをご存知ですか? より質問を効果的にするための3つのコツをご紹介します。
リアクションをする
質問をした際に、相手の回答に相槌などのリアクションをすることが大切です。せっかくした質問もリアクションをしなかった場合、答えた相手にとっては「答え甲斐のない質問」となってしまい質問が活きない可能性があります。相槌の「さしすせそ」やオウム返しなどを使って、回答した方を有意義に感じるような時間にしましょう。
【相槌のさしすせそ】
- さ:さすが!
- し:しらなかった!
- す:すごい!
- せ:センスいいですね!
- そ:そうなんですね!
メモをとる
心理学では、インタビュー効果という言葉があります。インタビュー効果は、メモをとりながら話を聞くと、好意的に思った話し手からより多くの情報を引き出すことができるという手法で心理カウンセリングの現場などで用いられています。ポイントはただメモをとるだけでなく、相手の顔を見て話を聞いたり、相槌を打ったりしながらメモすること。記録に残るので、物事を整理するのに時間がかかる方にはおすすめの方法です。
アドバイスをもらいたいと聞く
「この部分、Aさんならどうしていますか?」と教えを請うようなスタイルでの質問も質問の仕方として効果的です。心理学では他者からの期待・注目を原動力に、良い結果をもたらす「ホーソン効果」というものがあります。あなたがアドバイスしてもらいたいという姿勢で相手に聞くことにより相手もより良い回答を伝えようとし、お互いに良い関係構築につながる可能性が高いです。関係の浅い人などには、この質問から始めて見るとよいでしょう。
質問力を磨けるおすすめ本
質問力は実践の場でのアウトプットだけでなく、一人でも本などの知識としてインプットして鍛えることができます。今回は質問力を磨くことのできる本を2冊挙げてみました。
質問力ー話し上手はここがちがう
- この本の内容(筑摩書房サイトより引用)
話し上手な人というのは、ネタのおもしろさや話し方のうまさもあるが、質問がうまくて相手からおもしろい話が引き出せる、という面を必ずもっている。逆に質問がうまければ、自分に実力がなくても優れた人から情報が引き出せる。話す内容をおもしろくするのは難しいが、質問は鍛えれば誰でもうまくなる、すなわち技化できるものなのだ。谷川俊太郎、河合隼雄、村上龍、黒柳徹子、ダニエル・キイスなどの対話名人から学ぶ技。
- ポイント
- 34万部突破した「質問力」で話題の一冊。良い質問をするための座標を使って紹介。
- 著名人の対話など良い質問の具体的な事例と解説が多く、実践的で分かりやすい。
「質問力」って、じつは仕事を有利に進める最強のスキルなんです。
- この本の内容(大和出版サイトより引用)
会議・企画・プレゼン・交渉・営業etc…ビジネスのあらゆるシーンで武器になる! 相手の本音をひき出し、人を巻き込み、意見を通す25のメソッドを言葉のプロが徹底解説。5日間のSTORYであなたの業務がうまく回りだす
- ポイント
- 伝えるプロ・広告代理店の博報堂のクリエイティブディレクターがビジネスシーンで使える質問力のメソッドを紹介
- 3人の登場人物のストーリーを5日間の講義形式で、25個のメソッドを学ぶことができる
職場で使える質問例【マーケティング会社編】
ここまで様々な質問力を鍛える方法や種類をお伝えしましたが、職場で使える質問例にはどんなものがあるのでしょうか。今回はマーケティング会社で使える質問例をまとめてみました。
質問1:今までに行ってきたマーケティング施策で効果的だったもの・効果があまりなかったものはありますか?
新規のクライアントの場合にはこの質問が必要です。Webマーケティングは、オウンドメディア運営などのコンテンツマーケティングや広告の運用まで手法は様々です。クライアントがこれまで行ってきたマーケティング施策を理解することは、今後のマーケティング施策の方向性をある程度絞り込めますし、先方のマーケティング施策への評価基準も見えてくる可能性がありますので、おすすめです。
質問2:コンバージョン(以下CV)の優先順位を教えてください。
先日筆者が体験したことなのですが、WebサイトにCVを複数持っているクライアントの場合、優先順位を聞くことも必要です。たとえば、購入・資料請求・見積り依頼をCVとしている場合、どれも増やすことが大切ですが、予算が限られている場合や短期間で結果を残さないといけない場合には、先方に優先順位を確認しどのCVに対しての施策にするかを早い段階で確認しましょう。
確認することによって、先方も改めてどういう施策をしていきたいか考えてくれますし、優先順位の高いCV獲得に向けて、互いによりスピード感を持って進めていこうという認識を一致させることができます。
質問3:最も課題と感じている点はなんですか?
Webマーケティングは、事実から課題を見つけ仮説を立てて施策を提案する仕事です。提案は人によって千差万別行うことが可能ですが、クライアントが求めているものでなければ何回提出しても通ることはありません。必ず提案をする前後には、クライアントが課題と感じている部分を質問するようにすることで、クライアントは不安を解消し、納得感を持って依頼できるようになります。信頼関係の構築にもおすすめの質問です。
まとめ
質問力は、ただ質問する能力ではありません。追加情報が得られたり、認識のズレを防いだりとビジネスシーンで双方向にメリットを生むコミュニケーションの一種です。質問の種類を使い分けつつ、本でのインプットや実践で相手に興味・関心を向けて傾聴するなどのアウトプットから身に付けることができます。
良い質問・悪い質問の具体例を紹介しましたが、良い質問かどうかは、「良いコミュニケーションを促すかどうか」ではないかと思います。相手を尊重しつつ質問することは、関係構築につながります。ぜひ質問力を鍛えて、ビジネスに活用してみてください。