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岩村城(いわむらじょう)は、岐阜県恵那(えな)市にある、石垣だけが残る山城(やまじろ)です。 日本三大山城のひとつに数えられています。
山城とは、山の地形をそのまま守りに使った城のこと。 私は、天守のあるいわゆる「お城」より、この山城のほうが好きなんです。
ただ、初めて訪ねたときの正直な感想は「どこが三大山城?」でした。 本丸のまわりだけを見ると、ほかの石垣の城と同じに見えたんです。
その答えは、再訪で歩いた麓の資料館への下り道にありました。 門跡や石垣をたどるうちに、「地形を生かして築く」山城の面白さが、ようやく腑に落ちたんです。
まずは、岩村城がどんな城なのかから。
岩村城とは——日本三大山城で、いちばん高い城
岩村城(別名・霧ヶ城〈きりがじょう〉)は、”東洋のマチュピチュ”とも呼ばれる日本三大山城のひとつ。 日本100名城にも選ばれています。
三大山城のなかでいちばん標高が高く、本丸は717m。 3月に訪れたときは、数日前の雪がまだ溶け残っていました。

[写真①:雪の残る登城路]
歴史も古いんです。創築は鎌倉時代の初め、1185年。 源頼朝の重臣・加藤景廉(かとう かげかど)が築きました。
以後、城主を変えながら、明治の廃城まで約700年——これほど長い城の歴史は、日本の城史にも例を見ないといわれています。
山の上には、約4万個の石を積み上げた総延長1.7kmの石垣が、いまも残っています。
これだけの看板がそろっているのに——。 初めて訪ねた私は、「どこが三大山城?」とピンとこなかったんです。
次の章は、その”拍子抜け”の話からです。
六段壁は圧巻、なのに拍子抜け——”六段”の正体
初回の岩村城は、車で山の上まで上がりました。 本丸のすぐ下にある「出丸(でまる)」という平らな一角が、いまは駐車場になっているんです。
歩いたのは、本丸のまわりだけ。 それでも、いちばんの見どころ六段壁(ろくだんへき)は、たしかに圧巻でした。

[写真②:六段壁]
ただ、この”六段”は、敵を防ぐための強固な防壁かと思いきや、実は崩落を防ぐためのただの補強でした。
もとは最上段のひと続きの高石垣でしたが、崩れないように下へ補強の石垣を継ぎ足しつづけた結果、幕末には六段に。 いまの姿は、江戸後期のものとされています。
正体は、崩落対策。 それを知って、正直、拍子抜けしました(笑)。
石垣そのものは立派です。 でも、本丸のまわりだけを見ていると、ほかの”石垣の城”と何が違うのかが分からない。
三大山城と呼ばれる理由を見つけられないまま、城をあとにしました。
実はこのとき、麓へ下る道も少しだけ歩いているんです。 ただ、数日前の雪が残っていて、途中で諦めました。
——その下り道の先にこそ答えがあったと知るのは、再訪のときです。
再訪——下り道に現れた、岩村城の本当の姿
再訪で歩いたのは、本丸から麓の岩村歴史資料館まで、下っていくルートです。
ここで、岩村城の評価が一変しました。
資料館が建つのは、江戸時代の藩主邸の跡。 つまりこの道は、山上の城と麓の御殿を結んでいた登城路そのものです。
下るほどに、遺構が立て続けに現れます。
胸を突くような急坂は、攻め上る敵の勢いを削ぐため。 道は何度も折れ曲がって、敵をまっすぐ進ませません。 要所には門跡の石垣——敵をここで堰き止める関門です。
どれも、山の地形とセットで働く防御の仕掛けなんです。
「これぞ山城!」
初回に本丸のまわりで見つけられなかったものが、全部この道にありました。

[写真③]
本丸と麓の高低差は、約180m。 仕掛けを縫うように自分の脚で下りきって、ようやく「日本三大山城」の意味が腑に落ちました。
地形そのものを守りに変えた城——その姿は、本丸のまわりだけでは見えなかったわけです。
そして、この”化ける”体験——実は、登り方で決まります。 次の章は、その話です。
岩村城の登り方——70代の母と歩けた城
岩村城は山頂から麓まで、まるごと斜面にのびた縄張りです。王道は麓から高低差約180mを登るルートですが、おすすめは車で上がって「歩いて下りる」ルートです。
楽なのは逆!「下りだけ」の裏技ルート
車で本丸直下の出丸駐車場(無料)まで上がれば、本丸までは徒歩約5分。再訪では70代の母とも、ここから登りました。 本丸と六段壁を見たら、あとは大手道を下るだけ。厳しい登り坂をパスしても、第3章の”化ける”体験はこの下りだけで存分に味わえるのです。
高低差の予習は「歴史資料館」で
先に一番下の歴史資料館へ寄っておくのもおすすめです。館内のジオラマで高低差がひと目でつかめます。
アクセスと周遊はレンタカーが便利
この回り方は、車があってこそ。資料館と山頂の移動もスムーズです。 中央道・恵那ICから城までは約20分。恵那エリアの周遊にもそのまま使えるので、遠方から行くならレンタカーがおすすめです。
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麓には、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された風情ある城下町が広がります。名物の五平餅やカステラなどを売るお店が点在しているので、古い町並みでの食べ歩きや散策も、ぜひお城見学とセットで楽しんでみてください。
絶景の「苗木城」とセットで一泊旅行を
岩村城から車で約40分。同じ旅程でぜひセットで訪れてほしいのが、隣の中津川市にある苗木城(なえぎじょう)です。
自然の巨岩をそのまま石垣に取り込んだ城で、天守跡の展望台からは木曽川を見下ろす絶景——”絶景の山城”ランキングで1位に選ばれたこともあります。岩村城とはまったく違う魅力があって、車ならセットで回りやすい距離です。 城も町も、と欲張るなら一泊がおすすめです。
おわりに——六段壁だけが、岩村城じゃない
初回で見限らなくて、本当によかったです。
初回に見たのは、この城でいちばん有名な見どころ、六段壁でした。 それでもピンとこなかった私が、再訪でずっと面白かったのは、門跡や折れ曲がる急坂——山城らしい景色のほうでした。
どこから来る敵を、どこで、どう止めるつもりだったのか。 城の本当の面白さは、ガイドブックに載っている有名な一部分だけにあるとは限りません。 城全体を体で感じて初めて見えてきました。
あなたにも、有名な見どころだけ見て「ふーん」で終わった城はないでしょうか。 その城のいちばん面白いところは、別の場所にあるのかもしれません。
次はレンタカーを利用して一泊し、城をまるごと歩いてみてください。